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ジャニーズ問題 アフラック

ジャニーズ事務所の問題では所属タレントの出演CMを回避する動きが進む中、櫻井翔をCMで長く起用して来たアフラックはジャニーズ事務所との契約を櫻井翔個人との直接契約にするよう交渉していると報じられています。この業界掟破りの要求には芸能界でも驚きの声が上がっています。日本テレビのニュースゼロでも櫻井翔のMC継続が明らかとなっていることもあり、何故櫻井翔だけ特別扱いなのか、やはり父親が元総務省事務次官や電通副社長だから上級国民は「特別扱い」なのでしょうと言う意見も数多く見られます。勿論それ自体はある意味正しい指摘だと思いますが、私にとって興味があるのは日本でずっと「特別扱い」を受けていたアフラックが今回どのような対応をして行くのかです。

アフラックは1974年にがん保険で日本進出を果たしますが、この時に大蔵省(当時)は日本の生保や損保会社にはがん保険を認めないと言う逆差別を約束することで米国保険会社の日本進出圧力をかわしています。その後アリコ保険など外資の進出はありますが、基本的にがん保険分野は外資の独占が続きました。それが日本の保険会社にも解禁されたのは27年も経った2001年のことでした。この時もアフラックは実質官業である「かんぽ生命」のがん保険部門進出を阻止すべく政府への働きを強めました。その結果、かんぽ生命は自らのがん保険販売を諦めアフラックと提携する道を選びます。2008年から郵便局でのアフラック保険販売を開始すると徐々に取り扱い局を増やして行きます。そして2019年には日本郵政がアフラックの株式7%を2700億円で取得、2023年までに20%まで株式を取得する取り決めを結びました。アフラックは投下資本を何十倍何百倍にして日本から回収しただけでなく、郵便局と言うがん保険の巨大な販売ネットワークを手に入れ日本でのビジネスを確固たるものにしたのです。

現在アフラックの収益の8割は日本から得たもので、政治力を使って日本で発展した保険会社と言っても過言ではありません。ちなみに現在アフラックの会長であるチャールズ・レイク氏は1993年米国通商代表部日本部長となり日本に圧力をかけ続けた人で、1999年にアフラックへ入社、2003年から現在に至るまで20年間アフラックの日本代表を努めています。彼は日本語もペラペラで人当たりもとてもいいのですが、戦略的な動きは昔のUSTR日本部長そのものです。2018年にはどういう訳か旭日中綬章まで受けているのです。日本から経済搾取はしていても日本に貢献した人とはとても思えません。こんな歴史を持ったアフラックですが、今回のジャニーズ問題では2011年から起用を続け、今ではアヒルと共にアフラックの顔になっている櫻井翔のCM起用問題では微妙な立場に置かれています。未だ総務省に影響力を持つ桜井俊氏の子息をアフラックの顔とし起用し続けることは単なるCM契約を超えた重要な問題なのです。アフラックが言い出した業界の掟破りとも言える櫻井翔との個人契約は外圧に弱い日本を熟知したアフラックならではの賢い戦略だと思います。性加害に加担した企業と契約をすることは原理原則を大事にする米国企業としては受け入れがたいものです。事務所のピンハネを1年間しないので事務所との契約を続けてなんて言う小手先の話ではアフラックが納得するとは思えません。日本郵政との関係はほぼ完成したとは言えまだまだ総務省との関係を重要だと考えているアフラックが今後どのように動くのか興味深いところです。日本の大蔵省や総務省などが育てた保険業界のモンスター・アフラックが自らの主張をごり押しし、結果としてタレントとの個人契約と言う新たな世界を日本にもたらすのか、それとも日本のテレビ業界が生み出したモンスター・ジャニーズ帝国がそれを跳ね返すだけの余力を残しているのか、最終的にどのような結末を迎えることになるのか注視して行きたいと思います。


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