みなさんご機嫌いかがですか?

 

牡丹餅のような大きな「ぼた雪」が降った昨日、信州伊那谷は再び雪景色となりました。

 

春が待ち遠しいですが、雪と会えるのももうすぐ終わり。

そうと思うと、降る雪も「名残雪」に思えてきます。

 

ここのところ、家の周りではユスリカが多く発生。

何匹かは、人の出入りとともに家の中にも入ってきています。

 

「あ、ユスリカ。ここにもいたよ、お父さん!」

 

家族も、飼っている猫もユスリカに気付いている様子。

(我が家の場合、ヒステリックに殺虫剤をぶっかけたりなんてしませんが)

キザキユスリカ Sergentia kizakiensis (Tokunaga, 1940) ♂.

10.Ⅲ.2024. Ina-vally. Nagano. Japan.

 

名前を調べてみると、長野県にある木崎湖が基産地となっている、その名も「キザキユスリカ」でした。

 

大きさは6mm前後と、ユスリカ科では中庸なサイズ。

 

暖かく風の少ない日は、庭でユスリカたちのダンスが始まります。

「なんだかにぎやかになってきた」と、カメラを手に庭へ出ます。

 

庭では複数のオスが集まって蚊柱(かばしら)を形成していました。

(キザキユスリカの蚊柱を下から撮影)

 

キザキユスリカのオスの基本的な動きは、左右の往復を繰り返すパターン(※ほぼ無風の時に観察)。

ですが、ほんの少しの気流の乱れで蚊柱はとても複雑な動きに変わります。

 

ワーーーン・・・

 

群れ飛ぶユスリカの中に入り込んで撮影をしていると、ユスリカたちが奏でる甲高い羽音に包まれます。

きっと、この羽音もメスを呼ぶメッセージの一つなのでしょう。

 

眼を閉じて、しばし、ユスリカたちの奏でる微かな羽音に耳を傾けます。

 

ユスリカの飛翔中の体勢にも、面白い特徴がありました。

(飛翔中のキザキユスリカ)

 

ユスリカの特徴である長い前脚。

飛翔中は挙上した前脚を前方に突き出し、触角を囲むように「ふ節」を曲げているのです。

 

触角は優れた感覚器ですが、それを囲むように「ふ節」を構えているというのは、ちょっと不思議。

ひょっとしたら、触角と前脚との、何か機能的な結びつきがあるのかもしれません。

 

日本には1,200種を超えるユスリカが生息していて、それぞれの種はそれぞれ独自の習性を持っています。

 

今回の観察が、キザキユスリカ独自のものなのかどうか、まだ不勉強でわかりません。

ですが、身近に暮らしていながら、なお、数多の不思議を孕んでいる存在として、とても興味がわきました。

 

これからは「ユスリカの嵐(=蚊柱)」を追いかける「ストームチェイサー」も、悪くないかもしれません(笑)